日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローゼンクランツ」の意味・わかりやすい解説
ローゼンクランツ
ろーぜんくらんつ
Johann Karl Friedrich Rosenkranz
(1805―1879)
ドイツの哲学者。研究領域は哲学、哲学史、論理学、心理学、神学、美学、教育学、さらに文芸史、政治社会理論にまで及ぶ。若いころはロマン主義的傾向にあったが、しだいにヘーゲル哲学に傾倒し、いわゆるヘーゲル中央派に属する。代表的著作に『カント哲学の歴史』Geschichte der Kantischen Philosophie(1840)、『ヘーゲル伝』G. W. F. Hegels Leben(1844)、『醜の美学』Aesthetik des Häßlichen(1853)、『論理的理念の学』Wissenschaft der logischen Idee(1858~1859)などがある。なかでも、とくに『ヘーゲル伝』はヘーゲルの同時代人による伝記として重要であり、また『醜の美学』は古典的理想美との弁証法的関係において醜をとらえようとするヘーゲル学派美学の一傾向を代表している。
[浜下昌宏 2015年4月17日]
『中埜肇訳『ヘーゲル伝』(1983・みすず書房)』