すぬけ効果(読み)スヌケコウカ

化学辞典 第2版 「すぬけ効果」の解説

すぬけ効果
スヌケコウカ
draining effect

高分子溶液中における分子鎖と溶媒摩擦を考える場合,分子を構成しているセグメントの数をn,各セグメントと溶媒との摩擦係数ζ0 とする.糸まり状高分子鎖のなかを溶媒が通り抜け(すぬけ),各小球と溶媒との間で摩擦が生じる場合には,高分子全体の摩擦抵抗は,nζ0で表される.このような状態をすぬけ効果という.実際には,nが大きくなると,糸まり状高分子鎖の外側の分子のみが溶媒との間で摩擦が生じ,非すぬけ状態となる.高分子鎖の慣性半径は,ガウス鎖の場合には n1/2 に比例することから,高分子鎖全体の摩擦係数も n1/2 に比例する.分子量が数万以上の高分子では,一般に非すぬけ状態にある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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