日本大百科全書(ニッポニカ) 「スハンベルヘン」の意味・わかりやすい解説
スハンベルヘン
すはんべるへん
Caspar Schambergen
生没年不詳。江戸初期の長崎出島オランダ商館付き医師。1649年(慶安2)バタビアから長崎に渡来した。外科に長じ、出島において日本人にオランダ医学を教授したが、ポルトガル通詞(つうじ)猪股伝兵衛(いのまたでんべえ)(?―1664)もその一人である。渡来の年オランダ使節とともに江戸に上り、3代将軍徳川家光(いえみつ)病中のため、老中に謁見している。江戸滞在中、山口三郎左衛門は彼に医術を学んでいる。彼に外科を学んだ門人たちは、彼から伝授された外科を「カスパル流外科」と称した。カスパル流外科書『阿蘭陀(オランダ)外療集』中には「カスパル伝十七方」と記されている。
[中山 沃]
『古賀十二郎著『西洋医術伝来史』(1972・形成社)』