スペンサージョーンズ(その他表記)Harold Spencer Jones

改訂新版 世界大百科事典 「スペンサージョーンズ」の意味・わかりやすい解説

スペンサー・ジョーンズ
Harold Spencer Jones
生没年:1890-1960

イギリスの天文学者ケンブリッジ大学に在学中の1913年に特別研究員に選ばれ,また同じ年にA.S.エディントンの後任としてグリニジ天文台の主任助手となった。23年には南アフリカケープ天文台長となり,またその10年後の33年から55年に引退するまでグリニジ天文台長を務めた。位置天文学に関連する天文台のルーチンワークを指導した多くの研究があるが,彼自身の研究として著名なものに地球の自転速度の研究がある(1931)。太陽,月,諸惑星の黄経に観測される不規則変動が,諸天体の運動にではなく地球の自転速度の変動に起因することを明らかにしたもので,のちに暦表時が導入される契機となった。1930-31年の小惑星エロスの大接近に際しては,その位置を世界各地の天文台で観測して太陽視差を決定する国際協力を提唱し,みずからもケープ天文台で1200枚以上の写真観測を行った。のちに24ヵ所の天文台から寄せられた観測データを整約して太陽視差8.″7904±0.″0010を求めた(1941)。1937-39年王立天文学会長,44-48年国際天文学連合会長,55-58年国際科学連合会議事務総長を務め,1943年にはナイト爵位を贈られた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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