スリランカ民族紛争(読み)すりらんかみんぞくふんそう

知恵蔵 「スリランカ民族紛争」の解説

スリランカ民族紛争

スリランカの人口の約7割を占めるシンハラ人と、2割に満たない少数派のタミル人との争い。長年、北部・東部を中心に居住していたタミル人が、1970年代に「タミルの国(イーラム=Eelam)」樹立の要求を掲げ、分離独立運動を始めたことが、対立の発端だ。80年代に入り、タミル人武装組織の「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」とスリランカ政府との対立が激化。タミル人の起源であるタミルナド州があるインドも巻き込んだ紛争に発展した。インドが仲介する形での和平案にもLTTEは反対し、反政府テロ活動を展開してきた。91年にはウィジェラトネ国防相が、93年にはプレマダサ大統領が爆弾テロで死亡。インドのラジブ・ガンジー首相もインド南部を遊説中に暗殺された。タミル人は海外に移住者が多く、LTTEの武装闘争には海外から多額の資金支援があった。しかし、米英がテロ資金の規制を強めたことも背景となって、2002年2月、ノルウェー政府の仲介で停戦に合意した。スリランカでは、一般の国民にはさほど根深い対立感情がなく、紛争の当事者はスリランカ政府とLTTEというのが実態だ。

(竹内幸史 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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