セイヨウショウロ(読み)せいようしょうろ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セイヨウショウロ」の意味・わかりやすい解説

セイヨウショウロ
せいようしょうろ / 西洋松露

子嚢(しのう)菌類セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科チュベル属Tuberの地下生のキノコをいい、担子菌類のショウロとは無縁である。チュベル属には約30種が記録されているが、一般にジャガイモ形で、内部に迷路状に走る狭いすきまがあり、その中に子嚢胞子をつくる。胞子楕円(だえん)形、褐色を呈し、表面に細かい突起または網形の彫刻模様を帯びるものが多い。ナラ類、カンバ・シデ類などの根に菌根をつくるキノコであるため、マツタケ同様に栽培は容易でない。強烈な香りを放つが、ヨーロッパ諸国では古くからトリュフtruffe(フランス語)、トラッフルtruffle(英語)の名で高級料理に用いられてきた。日本でもトリュフ、ツラフなどの名でよばれることが多い。とくに料理用として珍重されるのは次の2種である。

(1)ペリゴール・トリュフtruffe du Pèrigord/Tuber melenospermum Vitt. ペリゴールとはフランス南西部にある地方名で、この地域の名産として名づけられた。生(なま)のときは暗褐色であるが、煮ると黒くなるため「黒トリュフ」ともいわれる。きわめて高価なことから「黒いダイヤモンド」の愛称もある。石灰岩地帯のナラ林に生える。フランス料理で名高いフォアグラには欠かせないキノコである。

(2)ピエモンテ・トリュフPiedmont truffe/T. magnatum Vitt. ピエモンテとはイタリア北西部にある地方名。色が淡いので「白トリュフ」の名もある。風味はペリゴール・トリュフに劣らず、高級イタリア料理に用いられる。

 両種のほかに、夏トリュフT. aestivum Vitt.、冬トリュフT. brumale Vitt.も珍重される。これらのトリュフはいずれも地下生で目に触れないため、ヨーロッパでは、訓練されたブタイヌを使って探り当てる。イタリアには、トリュフ採集のためのイヌを訓練する学校がある。

 日本ではこの種のキノコ(セイヨウショウロ)が長い間みつからなかったが、近年1、2種が発見されている。しかし、きわめてまれで食用にもされていない。

[今関六也]


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セイヨウショウロ

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