日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
セルギー・ラドネーシスキー
せるぎーらどねーしすきー
Сергий Радонежский/Sergiy Radonezhskiy
(?―1392)
ロシアのタタール人支配時代の修道者。ロシアでもっとも人気があり、愛された聖人。ロストフの貴族の家に生まれる。ザゴルスク(セルギエフスキー・パサード)付近に至聖三者(しせいさんしゃ)修道院を建てた。彼の修道院には多くの隠遁(いんとん)者が集まった。彼はぼろをまとって皆と筋肉労働を行い、すこしも指導者ぶらなかった。ロシア修道精神の真髄である卑下の権化であり、また、ギリシアの瞑想(めいそう)的、神秘的な静寂主義(ヘシカスム)を学んだ。その反面、彼には政治力もあり、ドンスコイ公にタタール軍防御法を進言し、クリコボの戦いを勝利に導き、モスクワ朝ロシア建国の父といわれた。
[田口貞夫 2018年2月16日]
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