ロシア連邦西部、モスクワ州の宗教都市。モスクワの北東70キロメートルにある。人口11万1800(1999)。14世紀前半ランドネジの貴族セルギー・ラドネーシスキーが、三位(さんみ)一体セルギエフ修道院を建設し、その周りに集落が形成された。ロシアの巡礼地として多数の信者が訪れたので、商業、手工業(木彫品、玩具(がんぐ))も栄えた。現在、ロシアの歴史・芸術保護地区に指定されているが、ロシア正教の修道僧、神学校の学生がおり、復活祭も盛大に行われ、多数の信者が訪れると同時に、観光コース「黄金の環(わ)」の一部をなし、観光客も多い。セルギエフ修道院の建造物群は1993年に世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。なお、ロシア正教の本部はここからモスクワへ移されている。主要工業は電気機械、家具、玩具、レンズ製造工業で、玩具博物館がある。19~20世紀の初め、セルギエフ(セルギエフスキー)・パサード(パサードは町ないし小都市の意)とよばれ、商工業の発展により、1919年には単にセルギエフとなった。1930年にロシアの革命家ザゴルスキーЗагорский/Zagorskiy(1883―1919)を記念してザゴルスクと改名されたが、ソ連崩壊に伴い1991年に旧名に戻された。その際にパサードの頭文字の表記が大文字になり、固有名詞になった。
[小俣利男]
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