日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソコマトウダイ」の意味・わかりやすい解説
ソコマトウダイ
そこまとうだい / 底的鯛
dwarf dory
Japanese dory
bigeye dory
[学] Zenion japonicum
硬骨魚綱マトウダイ目ソコマトウダイ科に属する海水魚。宮城県以南の太平洋岸、日本海では富山湾、五島(ごとう)列島周辺海域、九州・パラオ海嶺(かいれい)、東シナ海、天皇海山列、オーストラリア東岸・南東岸に分布する。体は細長い菱形(ひしがた)で側扁(そくへん)する。目は著しく大きく、頭部の大部分を占める。口はほとんど垂直に開き、前方に突出させることができる。鱗(うろこ)は小さく、大部分は円鱗(えんりん)。背びれと臀(しり)びれの基底部に沿って骨質の棘状板(きょくじょうばん)が並ぶ。体は紫褐色で、吻(ふん)部と尾びれは淡赤色。全長10センチメートルぐらいにしかならない小形種。沿岸の沖合いの水深175~980メートルの砂泥底にすむが、200~400メートルに多い。底引網で多量にとれ、練り製品の原料にされる。本科の別種アオマトウダイCyttomimus affinisとは、前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)に強い棘(とげ)があることで簡単に区別できる。マトウダイ目の他科の魚とは、口が垂直に開き、前鰓蓋骨隅角(ぐうかく)部に強い棘があること、腹びれに強い1棘があることなどで区別できる。
[尼岡邦夫 2016年10月19日]