内科学 第10版 「その他の疾患」の解説
その他の疾患(その他の心筋症)(心筋疾患)
アドリアマイシンなどアントラサイクリン系の抗癌薬は心筋毒性が強く,拡張型心筋症様病態を示す.用量に依存性で,非可逆性であり,予後は重篤である.膠原病では活動性心筋炎を起こす疾患が多い.全身性エリテマトーデスでは冠動脈硬化症や心外膜炎の合併が多く,Libman-Sacks心内膜炎,僧帽弁閉鎖不全を示す.関節リウマチでは心外膜炎,伝導障害,全身性強皮症では心筋線維化による拡張障害をきたす.好酸球増加症候群やアレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)では好酸球浸潤を伴う心筋障害を生ずる.副腎皮質ステロイドが著効することが多い.
産褥心筋症は基礎心疾患のない妊婦に分娩後2~3カ月以内に発症する原因不明の心不全である.妊娠3000〜4000例に1例ほどの発症とされる.多産婦,多胎妊娠に多い.予後は改善例,死亡例,再発例,移植を必要とする例などさまざまである.[磯部光章]
その他の疾患(全身性代謝疾患に伴う二次性心筋症)(全身性代謝疾患に伴う二次性心筋症)
肥大型心筋症様の心筋障害を伴う遺伝性代謝疾患には,このほかにGaucher病,Hunter-Hurler症候群(ムコリピドーシス)(図5-13-26),糖原病などがある.衝心脚気は末梢血管抵抗の低下により高心拍出性心不全をきたす.ビタミンB1の補充により改善する.末梢神経症状を合併したうっ血性心不全では本症を疑う.[磯部光章]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報