移植(読み)いしょく

  • transplantation
  • うつしう・える ‥うゑる
  • 移植 grafting
  • 移植 transplanting

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

特定のプラットフォームで利用するために開発したソフトウェアを、他のプラットフォームで動くように変更すること。 ポーティングとも呼ぶ。たとえば、Mac OS用のアプリケーションをもとに、Windows上で動作する同等のアプリケーションを開発することを「Mac OSからWindowsに移植する」という。また、構造上移植しやすいソフトウェアを「移植性が高い」という。

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デジタル大辞泉の解説

[名](スル)
植物を他の場所に移し植えること。植えかえ。「松を移植する」
外国の文物・制度などを自国に取り入れること。
生物体のある器官や組織の一部を切り取って、同一個体の別の場所または別の個体に移しかえること。「臓器移植
コンピューターで、ある特定のシステムや環境で動くソフトウエアを、他のシステムや環境でも動くように変更すること。ポーティング。

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百科事典マイペディアの解説

(1)植物。従来の生育地から他の場所に植え変えること。農業では,収穫まで置くべき場所に移植することを定植,定植までの間に苗床などで行う移植を仮植えといい,このように育苗して本畑に定植(水稲では田植)する方法を移植栽培という。稲作,麦作などの移植栽培の利点は,育苗地が小面積ですみ,本田畑を他の目的に使用できるという耕地の経済的利用にあるが,さらに水稲では除草労力の軽減,選種・育種上の便がある。また野菜類では仮植えを繰り返すことにより,茎葉の徒長を防ぎ,生育を早め,仮植えの際に根を切ることにより細根の発達を促し,定植の際に活着をよくし,品質・収量を高めることができる。(2)動物。個体の一部を同一個体の他の部分や他の個体に移し植えること。実験発生学でよく用いられるが,ときに外植といって,人工的な環境に移すこともある。移植は医学にも利用され,輸血や骨髄(こつずい)移植などの細胞移植,角膜移植や骨移植などの組織移植臓器移植がある。また,提供者と受者との遺伝的関係から自家移植同種移植異種移植の別があり,自家移植(同一人体内移植)は最も成功しやすく,植毛術植皮術が代表例。同種移植(他の人間からの移植)には角膜移植や臓器移植がある。異種移植(他の動物からの移植)は最も困難である。なお人工血管,人工臓器などを用いる場合も移植と呼ばれる。
→関連項目異種間臓器移植形成外科直まき(播)栽培皮膚移植ボーンバンク

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IT用語がわかる辞典の解説

特定のコンピューターシステム向けに開発されたソフトウェアを別のシステムで動作するよう、プログラムを書き換えたり再構築したりすること。◇「ポーティング」ともいう。

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世界大百科事典 第2版の解説

一般には,ある個体の一部分すなわち細胞,組織あるいは器官などを同一個体の他の部分または別の個体に植えることをいう。移植体の宿主が同じ個体の場合を自家移植,別の個体の場合を他家移植と呼ぶ。今日では,細胞核を卵や他の細胞に植え込む場合にも移植という言葉が適用される。実用的な移植の例としては,臨床医学分野における角膜移植皮膚移植臓器移植がよく知られ,また農業や園芸の分野で古くから行われている接木は植物における移植にほかならない。
植物をある場所から他の場所へ植え替える作業をいう。移植後さらに植替えが必要なものを仮植とよび,そのまま収穫まで置くものを定植とよぶ。草花類では断根によって根の張りが密になるため育苗中植替えを行うが,この場合はこの植替えを移植とよび,一時的に植えておくことを仮植とよぶ。移植には単に位置を替えるだけのものもあるが,多くは作物の栽培上特別な意味をもつ場合に行われる。移植栽培が一般的な作物にはハクサイなど各種の野菜や水稲,イグササツマイモタバコイチゴなどがある。

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大辞林 第三版の解説

スル
植物を別の場所に移し植えること。 苗木を-する
外国の文化や制度を取り入れること。 西洋文化の-
生物体の組織の一部分、または臓器を取り出し、別の部位や個体に移し植えること。 角膜- 腎臓-
特定のコンピューターや OS 用に作られたソフトウエアを、異なったアーキテクチャーを持ったコンピューターや OS 用に作り替えること。ポーティング。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ある個体の組織や臓器をいったんその個体から切り離して,同体あるいは他体に移し植えること。同体への移植を自家または自己移植,1卵性双生児同士または純系の動物の同系,同性の2者の間で行われる同系移植,同種属の2者の間の同種移植,種属の違う2者の間の異種移植などがある。移植されるものを移植片 graft,移植組織,移植臓器などといい,それを提供する個体を提供者または供与者 (ドナー donor) ,それを受ける個体を受容者 (レシピエント recipient) または宿主 hostという。腎臓,心臓などを本来あるべき場所に移植するときは同所性,本来の場所と違うところに移植するときは異所性移植という。同種あるいは異種移植などにおいては,移植後に短時日のうちに移植片が壊死に陥ることが多い。これは宿主の免疫系が移植片に対して抗体をつくり,拒否 (絶) 反応 (または現象) を起すためである。拒否反応が起るのを避けるためには,あらかじめ提供者と受容者の間で組織適合性試験を行なって,組織の型合せをする必要がある。また,拒否反応を防止するために種々の薬剤や放射線を用いて宿主の免疫活動を押える処置を,免疫抑制法と呼んでいる。治療を目的として臨床的に臓器移植を行う場合には,拒否反応のほかに,臓器提供者の問題がある。腎臓移植のように症例数が多い場合には,患者の組織の型を登録しておいて,それと適合した型の死体腎が得られたとき,ただちに移植できるような登録システム (死体腎移植希望者登録) と移植手術実施病院とのネットワークが有用であり,日本でも社団法人日本腎臓移植ネットワークが発足し,1997年 10月に臓器移植法が施行したことによりほかの臓器の移植にも道が開け,従来の腎臓移植ネットワークは臓器移植ネットワークに改組された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

生物の個体または組織の一部を分離してほかの場所に移し、新しい有機的な環境下において生存または育成を図ることをいう。この場合、移植体または移植片を提供する個体を供与者(ドナー)、移植体または移植片を受ける個体を受容者(レシピエント)といい、移植の条件によって、自家移植または同体移植(同一の個体の一部分をほかへ移すこと)、同種間移植(同種のほかの個体へ移すこと)、異種間移植(異種の個体へ移すこと)などに区別される。一般に前記の順序で移植はむずかしくなる。また、移植体または移植片を受容者の同じ部位に移植するもの(正位移植)と、別の部位に移植するもの(変位移植)とがある。
 なお、微生物または生物の組織片や細胞塊などを培養基(培地)上に置くこと(外植)や、別の培養基に移すことも移植といい、生物学や医学の研究の手段や材料として利用される。[八杉貞雄]

動物の移植

動物学においては、ある器官(臓器)の機能を知るために、その器官を他個体に移植してその影響を調べることがよく行われる。とくにホルモンなどの液性因子を産生する器官ではこの方法が有効である。また、多細胞動物における初期発生中の胚(はい)の一部を、異なる環境下に移し、その発生運命や胚形成の分化能力などを調べる目的で実験が行われている。なお、ある細胞から核を抜き取り、他の細胞(普通は無核にした細胞を用いる)に移す核移植が、核と細胞質との相互関係を調べるために行われる。核移植の技術は、クローン動物の作成などにも多用される。
 現在の医療では移植が重要な治療法の一つになっている。古くから皮膚や角膜などの移植が行われてきたが、20世紀後半から心臓、肝臓、肺など生存に必須(ひっす)の臓器の移植も行われるようになった。これらの場合、最大の問題は免疫による拒絶反応を克服することであるが、シクロスポリン(サイクロスポリン)、FK506などの優れた免疫抑制剤の開発によって移植の成績は格段によくなった。現在ではむしろ移植に伴う倫理の問題が社会的にも議論され、とくに生体移植(生体供与者からの移植)がどこまで許されるか、死亡した者からの移植の場合に脳死をどのように判定するかなどの問題がある。わが国では1997年(平成9)に「臓器の移植に関する法律(臓器移植法)」が制定され、それに基づいて、生前にドナーになることを表明していた者からの臓器移植が行われている。[八杉貞雄]

植物の移植

植物を別の場所に移し植えて新しい環境下で成長を持続させることをいう。分類学上、近縁の群あるいは株の一部を本来の生育条件と異なる場所に移植して、移植体が遺伝的にどのような影響を受けるか、また群や株の相互関係の変化や適応など、生態を調べるうえで重要な方法である。
 実用的には、苗床で育てた苗を田畑に植え付ける方法が行われ、その典型的な例がイネの田植である。作物の移植は単に植物の場所を移動させるだけでなく、圃場(ほじょう)にまだ前作物があるときに別の場所で集約的に苗を育てておき、前作物の収穫前後か直後に移植して田畑を有効に利用することや、自然状況ではまだ生育できない春早いうちは保護環境下で育苗し、生育可能な環境(温度と日長)になったら本畑に移植して生育期間を長くとる役割や、開花結実を早め作物の生育を安定させる役割も重要である。そのほか、雑草防除のうえからも重要である。このような作物栽培を移植栽培という。とくに野菜や草花の移植では、植えいたみを避け、根つきをよくするために畑土を柔らかく耕しておくことが重要で、移植したあとに水をやり、根づくまで蒸散防止のため日覆いをすることもある。
 園芸では、移植してから収穫まで同じ場所で育てる場合を定植(ていしょく)といい、定植までの間に苗床間で移植する場合を仮植(かしょく)という。鉢で栽培する場合には、移植を鉢替え、鉢上げなどとよび、樹木については床替えという。
 農業上の移植は一般に手作業で行うため多くの労力を必要とする。1970年代以降は作付けの規模が大きい場合、作業の能率向上や作物の均一性などを目的として動力式の移植機(トランスプランター)による移植が行われるようになった。たとえば、イネの移植には田植機が広く利用され、サツマイモ、キャベツ、レタス、タマネギ、トマト(加工用)などの苗の移植にも、各種の移植機が開発されている。[星川清親]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘他ア下一〙 うつしう・う 〘他ワ下二〙 (室町頃からヤ行にも活用した) 木や草花を他の場所に動かして植える。移植する。
古今(905‐914)秋下・二八〇・詞書「人の家なりけるきくの花をうつしうへたりけるをよめる」

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世界大百科事典内の移植の言及

【接木】より

…植物体の一部分(枝,芽,根)を他の個体に接着させ,両者を癒合させる技術。接木植物の台となる部分を台木といい,台木に接着させる部分を接穂または穂木という。接木によって,母植物と同一の形質をもつ個体を比較的容易に多数増殖できる。また,接木植物は種子から育てた植物(実生)に比べて開花や結実が早くなる。果樹や花木は遺伝的に雑ぱくであり,種子をまいても元の植物とは異なった果実や花をつける場合が多いので,栄養繁殖,とくに接木繁殖することが多い。…

【園芸】より

…《日本書紀》に白ツバキが書かれ,《万葉集》ではヤマブキやアジサイの八重咲きを示唆する歌がある。ナラノヤエザクラは聖武天皇が発見,移植したと伝えられるが,これが後世広がったのは接木(つぎき)の技術による。藤原定家は《明月記》で,それにふれている。…

※「移植」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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