ソフトエネルギー・パス(英語表記)soft energy path

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソフトエネルギー・パス」の意味・わかりやすい解説

ソフトエネルギー・パス
soft energy path

エネルギー・システムとして,集中的な巨大設備ではなく需要者接近の中小規模の設備を,そして化石燃料ではなく再生可能なエネルギーを,それぞれ利用していこうというエネルギー戦略。これに対し,従来の化石燃料,原子力中心の路線をハードエネルギー・パスという。 1976年にイギリス物理学者 A.ロビンスが『フォーリン・アフェアーズ』誌に発表した論文で提唱した。この背景には,スケールメリット神話への懐疑エネルギー源は多様であることが望ましい,エネルギーを浪費しなくても経済成長は可能である,などの考え方がある。

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知恵蔵 「ソフトエネルギー・パス」の解説

ソフトエネルギー・パス

物理学者A.ロビンスが提唱したエネルギー戦略。原子力と石炭増大を目指す従来の硬直的路線(ハードエネルギー・パス)に対し、効率向上自然エネルギーの利用を中心とする柔軟な戦略。環境を重視したエネルギー利用者側からの考え方。身近な自然エネルギー(ソフトエネルギー)は、非枯渇、分散的で理解しやすく、最終用途の質と量に適合しているとする。新エネルギー開発への広範な活動のきっかけとなった。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内のソフトエネルギー・パスの言及

【技術】より

…たしかにそれらは,現代文明を象徴する巨大な原子力発電所と好対照をなす。〈もう一つの技術〉の思想を,エネルギー問題に即して具体化した一つの試みとして,イギリスのロビンスAmory B.Lovinsの〈ソフト・エネルギー・パスsoft energy path〉が挙げられる。一方,第三世界の開発戦略に関しては,先進工業国から先進技術の粋をこらした巨大な生産設備を導入して一挙に近代化をはかるよりも,それぞれの地域の要求に見合った中小規模の技術を広めていくことを重視すべきであるという見解を,〈もう一つの技術〉の提唱者たちはとった。…

※「ソフトエネルギー・パス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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