ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「化石燃料」の解説
化石燃料
かせきねんりょう
fossil fuel
18世紀後半にイギリスで産業革命が始まって以来,化石燃料の利用は急激に増加した。21世紀の初めには,世界のエネルギー供給の約 90%が化石燃料によるものとなった。化石燃料がつくられるには数百万年の時間がかかるため,今後,埋蔵量が大幅に増えることは考えにくく,地球上に残る化石燃料の埋蔵量はかぎられている。ただし採掘技術の進歩によって,利用できる化石燃料の量は増加している。また枯渇が心配される,従来利用されてきた軽質から中質の原油に代わり,重質の原油の利用や,オイルサンドやオイルシェール,シェールガスなどの新たな燃料源の探索や採掘技術開発も進んでいる。
化石燃料は地球全体に均等に埋蔵されているわけではない。石炭のおもな鉱床は,アメリカ合衆国,ロシア,中国にある。オーストラリアやインド,南アフリカもよく石炭がとれる。石油と天然ガスは,その埋蔵量の半分以上が中東に存在する。中東以外では,カナダやアメリカ合衆国,ロシア,ラテンアメリカやアフリカ,中央アジアなどにあり,その埋蔵量は全体の約 15%を占める。
化石燃料の問題点は,埋蔵量がかぎられることと,燃焼後の環境への悪影響があげられる。石油や石炭を燃やすと,窒素酸化物や硫黄酸化物などの有害ガスが放出される。これらのガスは大気を汚染し,大気中の水分と反応して酸性雨をつくりだす。また,化石燃料の燃焼によって発生する二酸化炭素は温室効果によって,気温を上昇させ,地球温暖化を進めることが懸念されている。そのため,原子力,水力,風力などの再生可能なエネルギー源への転換が進められている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報