ゾーン精製法(読み)ぞーんせいせいほう(その他表記)zone refining

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゾーン精製法」の意味・わかりやすい解説

ゾーン精製法
ぞーんせいせいほう
zone refining

棒状の長い固体の一部を帯状に溶かし、溶けた部分を移動して凝固させることにより不純物を一端に集め精製する方法。不純物濃度CL液体を緩やかに冷却するとき、最初に固化する部分の不純物濃度CSは一般にCLと異なる。CSCLに対する比kを分配係数とよぶ。不純物が入ることにより融点が上昇する場合はkが1より大きく、下がる場合には1より小さい。kが1より小さい場合には、不純物は終端に集められ、ゾーン通過を数回繰り返すことにより、始端付近の不純物濃度を著しく低下させることができる。横型のゾーン精製を行うときは、試料を入れるボートが必要であり、ボートからの不純物の混入のおそれがある。

[小岩昌宏]

フローティングゾーン精製法floating zone refining

円柱形の物質の一部分を高周波電流によって溶解して溶融帯をつくり、これを移動させる方法である。溶融帯は、表面張力と高周波電流の反発力とにより保持される。シリコン比重が小さく、この方法に適する。ゾーン精製法は金属の精製にも使われるが、ゲルマニウム、シリコンなど半導体材料の製造技術として大きな役割を果たしている。

[小岩昌宏]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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