たこつぼ心筋障害

内科学 第10版 「たこつぼ心筋障害」の解説

たこつぼ心筋障害(その他の心筋症)

(7)たこつぼ心筋障害たこつぼ心筋症 takotsubo card­iomyopathy)
 急性発症で原因不明の左心室心尖部バルーン状拡張(無収縮)を呈する(図5-13-29).心尖部の無収縮は通常数週から1カ月以内にほぼ正常化する.急性冠症候群様の症状を示し,急性期にSTが上昇し(図5-13-29)心筋梗塞に酷似するが,冠動脈造影では異常を示さない.診断にあたっては心筋虚血関与褐色細胞腫,脳血管障害,心筋炎を除外する必要がある.高齢女性に多く発症し,精神的ストレスや身体的侵襲が契機となることがある.心筋逸脱酵素の上昇は中程度以下にとどまる.緊急冠動脈造影検査を施行される女性患者の3%以上が本病態と推定されている.成因として,交感神経の過剰反応,冠攣縮,気絶心筋,心筋微小循環障害,心筋炎,など諸説あるが不明である.[磯部光章]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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