日本大百科全書(ニッポニカ) 「タマガイ」の意味・わかりやすい解説
タマガイ
たまがい / 玉貝
moon shell
sand snail
軟体動物門腹足綱タマガイ科に属する巻き貝の総称。この科Naticidaeの仲間は熱帯域に多いが寒海にもすみ、潮間帯から漸深海まで分布する。殻は球形または半球形、殻表は滑らかで光沢と斑紋(はんもん)がある。殻口は半円形、臍孔(へそあな)は、広く開くものや、臍盤(さいばん)が臍孔内に突出してそれをふさぐものなど変異に富む。蓋(ふた)は石灰質のものと革質のものとがある。軟体は大きくて、足部の上葉で前後から殻を覆う。砂泥底にすみ、その中に潜って二枚貝などをとらえ、それらの貝殻に歯舌で穴をあけて肉を食べる。卵嚢(らんのう)はスナヂャワン(砂茶碗)とよばれ、砂泥を粘液で固めたもので、底の抜けた茶碗を伏せたような形である。
[奥谷喬司]