タルクイニウス・プリスクス(その他表記)Tarquinius Priscus, Lucius

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

タルクイニウス・プリスクス
Tarquinius Priscus, Lucius

伝説的な古代ローマ第5代の王 (伝説では在位前 616~579) 。本名ルクモ Lucumo。父はコリントデマラトスで,エトルリアのタルクイニ (現タルクイニア) に移住した。エトルリアが当時ギリシアと関係をもち,一時ローマをも支配したことは実証される。しかし,このタルクイニウスおよび同名のスペルブス王の業績とされている事柄は,伝説か一連の人々の業績を表わしているものと思われる。妻タナクイルのすすめでローマに入り,エトルリアの慣習,宗教,技術をもたらし,周辺の都市を討ち,城壁を築き,ローマの領域を拡大したといわれる。アンクス・マルキウスの息子たちの扇動により暗殺された。

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世界大百科事典(旧版)内のタルクイニウス・プリスクスの言及

【暦】より


【古代ローマの暦】
 擬似太陽暦ともいうべきローマの暦は,農耕の便宜に合わせた10ヵ月の月(表4)からなり,農作業のない冬季の2ヵ月は暦に入れなかった。王政時代の5代目の王タルクイニウス・プリスクスTarquinius Priscusがエトルリアから12ヵ月の暦を導入しようとしたが,実施にいたらなかった。したがって共和政になってからも年の始めは3月1日で,コンスルをはじめとする行政官(任期1年)もこの日に就任した。…

【シビュラ】より

…前1世紀のローマの学者ウァロによれば,ペルシア,リビア,小アジア,ギリシア,イタリアに全部で10人いたとされ,その中では,ナポリに近いクマエ(イタリアにおける最古のギリシア植民市)のシビュラが最も有名。彼女はローマ建国の祖アエネアスを冥府に案内したほか,ローマ第5代の王タルクイニウス・プリスクスTarquinius Priscusに六脚律詩で記された予言書を非常な高値で売りつけた。このとき王は,最初,金を惜しんで断ったが,彼女は9巻のうちの3巻を火にくべ,残る6巻にも同額を請求,王がふたたび断ると,彼女はさらに3巻を焼いたため,結局,王は残った3巻をもとの言い値で買い取ったという。…

【タルクイニウス家】より

…古代ローマの王家。タルクイニウス・プリスクスTarquinius Priscus(在位,前616?‐前579?)とタルクイニウス・スペルブスTarquinius Superbus(在位,前534?‐前510?)がそれぞれ第5,第7代の王位に就いており,また第6代目の王セルウィウス・トゥリウスは当王家の一員として養育されたと伝えられる。2人のタルクイニウス王はエトルリア人で,セルウィウスをも含めて3代にわたるエトルリア系王政時代にローマは都市を建設し,国制を整え,ラティウム随一の強力な都市国家として発展した。…

※「タルクイニウス・プリスクス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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