ターク・イ・ブスタン(読み)たーくいぶすたん(その他表記)Taq-i-Bustan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ターク・イ・ブスタン」の意味・わかりやすい解説

ターク・イ・ブスタン
たーくいぶすたん
Taq-i-Bustan

イラン西部、イラン高原の中のザルデ・クー山麓(さんろく)にあるササン朝ペルシアの遺跡。イランではターケ・ブスタンという。オアシスの湧出(ゆうしゅつ)する岩山に、大小2個の石窟(せっくつ)がうがたれている。大石窟は、高さ9.2メートル、間口7.5メートル、奥行6.6メートルで、6世紀から7世紀にかけてのホスロー2世の造営したものである。外面はストゥッコ装飾で、石柱頭などにはシリア・ローマ様式の影響が強くみられる。大石窟は、外面には天使、奥壁には国王の騎馬像と、アフラ・マズダー神やアナー・ヒター神の浮彫りがあり、左右の壁面には国王の狩猟の構図をもった浮彫りがある。国王は中央に立ち上がり、弓に矢をつがえている。小洞窟は4世紀のシャープール3世の手になったもので、父王シャープール2世の像とパフラビー文字銘文が刻まれている。またここではストゥッコ文様に似たササン朝時代の織物の文様についても知ることができる。

 なお、東京大学東洋文化研究所のイラン・イラク学術調査の結果の一部として英文で報告書が刊行されている。

[糸賀昌昭]


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