日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダストガー」の意味・わかりやすい解説
ダストガー
だすとがー
dastgāh ペルシア語
イランの古典音楽の旋法体系。微分音や中立音程をその構成音とするところに特徴がある。ダストガーは、個別名をもつ12の旋法(七つの主要旋法ダストガーと五つの副次的旋法アーバーズ)に整理されており、各旋法には、固有の音階と終止形フォルード、そして数種の旋律型グシェが含まれる。グシェとはダストガーの構成音域よりも狭い音域内で展開する旋律型で、固有の名称と情緒をもつ。グシェのなかにはダストガーの音階構成音以外の音を含むものもあり、その展開においてはしばしば転調的効果がもたらされる。だが、各グシェの終わりには、かならずそのダストガー固有の終止形が用いられて、全体の旋法的統一が図られる。演奏者は、季節、時間、場の雰囲気、気分などにあわせて、あるダストガーを選び、さらにそのダストガーに属すグシェのなかから数個を選んで基本旋律とし、伝統的順序に従いながら、その中心である即興による自由リズムの歌唱を展開させる。
[山田陽一]