情緒(読み)ジョウチョ

デジタル大辞泉の解説

じょう‐ちょ〔ジヤウ‐〕【情緒】

《「じょうしょ」の慣用読み》
事に触れて起こるさまざまの微妙な感情。また、その感情を起こさせる特殊な雰囲気。「情緒豊かな作品」「異国の情緒があふれる」「下町情緒
情動」に同じ。「情緒不安定」

じょう‐しょ〔ジヤウ‐〕【情緒】

じょうちょ(情緒)」に同じ。「下町情緒

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

情緒
じょうちょ

「じょうしょ」と読むこともある。喜び、悲しみ、怒り、恐怖、不安のような一時的で急激な心の動きをいう。激しい身体的な表出を伴うので情動とよぶことが多い。身体的な表出というと外面的なことに注目しがちであるが、自律神経系―内分泌腺(せん)の活発な動きも含んでいる。文学では地域の風情に関連して用いられることが多い(例、下町情緒というような用法)ので、心理学の専門用語としては情動という概念を使ったほうがよい。

[大村政男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

じょう‐しょ ジャウ‥【情緒】

〘名〙
① おりにふれて起こるさまざまなおもい。喜怒哀楽などにつれて起こる複雑な感情。じょうちょ。
※聖徳太子伝暦(917頃か)上「各得其情緒。無復再諮
※文明本節用集(室町中)「情緒(ジャウショ)」 〔江淹‐泣賦〕
② (emotion の訳語) 心理学で、感情経験の一種。喜び・怒り・悲しみ・恐れ・憂い・驚きなど身体的表出を伴う感情の動きをいう。情動。じょうちょ。
※教育・心理・論理術語詳解(1885)「本能上ノ情緒(ジョウショ)
[語誌]→「じょうちょ(情緒)」の語誌

じょう‐ちょ ジャウ‥【情緒】

〘名〙 (「ちょ」は「緒」の慣用読み)
① =じょうしょ(情緒)①〔広益熟字典(1874)〕
※別れ霜(1892)〈樋口一葉〉一三「降りかかる憂苦と繋がるる情緒(ジャウチョ)に思慮分別も烏羽玉(ぬばたま)の闇くらき中にも」
② その物に接した時に受ける、しみじみとした特有の情趣。「江戸情緒を満喫する」
※まんだん読本(1932)花四天の鉄ちゃん〈山野一郎〉「何となく頽廃した当時の宮戸座の情緒(ジョウチョ)
※精神分析入門(1959)〈安田一郎〉七「恐怖というのは〈略〉結果生ずる感情━正しくは、情緒(ジョウチョ)、あるいは情動という━である」
[語誌](1)「じょうしょ(情緒)」の挙例のように漢籍にも見え、日本でも古くから用いられているが、本来「心の動くいとぐち」「感情の発作」の意味であった。それが、幕末から明治初期にかけ、英語 emotion の訳語として用いられ、喜怒哀楽、同情、嫉妬などの複雑な感情を指す心理学用語となった。
(2)「緒」は漢音がショで、チョは慣用音、近世以前はジョウショと読んだが、明治以降ジョウチョとも読むようになる。明治・大正期を通じてジョウショが規範的な読みであったが、現代ではジョウチョの方が一般的な読みとなっている。

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