改訂新版 世界大百科事典 「ダニエリソーン」の意味・わかりやすい解説
ダニエリソーン
Nikolai Frantsevich Daniel'son
生没年:1844-1918
ロシアの経済学者。筆名ニコライ・オンNikolai-on。《資本論》の最初のロシア語訳の完成者(第1部1872,第2部1885,第3部1896)。信用組合の職員として終生市井に生きた。24歳のときマルクスと文通をはじめ,ロシアの情報と文献多数を提供。マルクスの死後はエンゲルスと文通した。主著《改革後のわが国の社会経済概要》(1880-93)は,ロシア資本主義を分析した早期の文献。彼自身はナロードニキではないといっているが,ロシア資本主義が〈人民的生産〉を圧倒するとともに,ロシア資本主義の行き詰りを予想していて,その学説は合法ナロードニキのロシア資本主義没落論の一種という性格をもっている。
執筆者:田中 真晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報