信用組合(読み)シンヨウクミアイ

デジタル大辞泉 「信用組合」の意味・読み・例文・類語

しんよう‐くみあい〔‐くみあひ〕【信用組合】

明治33年(1900)の産業組合法に基づいて設立された信用・販売・購買・利用の各事業を行う産業組合の一。昭和24年(1949)そのほとんどが信用協同組合改組し、同26年にそのうちで金融機関としての性格が強いものは信用金庫になった。
信用協同組合」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「信用組合」の意味・読み・例文・類語

しんよう‐くみあい‥くみあひ【信用組合】

  1. 〘 名詞 〙 中小事業者、消費者に対する資金の貸付預金の受入を行なう協同組合。日本ではドイツの信用組合制度にならい、明治三三年(一九〇〇)の産業組合法によって認められた。その後、昭和二四年(一九四九)の中小企業協同組合法によって規制される。信用協同組合。
    1. [初出の実例]「信用組合の必要なることは朝野に嘖々たる所なるが」(出典:朝野新聞‐明治二六年(1893)六月二三日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「信用組合」の意味・わかりやすい解説

信用組合
しんようくみあい

中小企業等協同組合法(昭和24年法律181号)を根拠法とし、さらに金融機関としての公共性と信用秩序維持の立場から「協同組合による金融事業に関する法律」(昭和24年法律183号)に基づく中小商工業者および勤労者の自律性を重んずる自立共助の協同組織の金融機関である。正式には信用協同組合という。株式組織金融機関が営利法人であるのに対して、信用組合は中小企業等協同組合法で定められた一定の資格ある人々を組織して取引者とする非営利法人の金融機関である。事業活動の結果生じた剰余金は、一定の制限のもとに出資配当または利用者配当として組合員に還元される。信用組合の源は信用金庫と同根で、産業組合法(明治33年法律34号)に基づいて設立された産業組合にさかのぼることができる。

 信用組合は、組合員の特性によって地域信用組合(在日外国人のための民族系信用組合を含む)、業域信用組合、職域信用組合の三つに分類できる。業務は組合員の預金、積金の受入れ、組合員のための貸付および手形割引、組合員のためにする内国為替(かわせ)取引などである。また、預金、積金の総額の20%を限度として組合員以外の預金を受け入れることができる。組合員資格には制限があり、事業者は従業員300人以下、資本金3億円以下(卸売業は100人以下、1億円以下、小売業・サービス業は50人以下、5000万円以下)のものが対象となる。営業区域はおおむね一都道府県内で、所轄監督は都道府県知事である。2007年(平成19)3月末現在、信用組合数は168、種類別店舗数は1858(地域信用組合1771、業域信用組合53、職域信用組合34)で、預金・積金量16兆0672億円、貸出金9兆3669億円、組合員数約364万3119人である。

 なお、資金の調整機能を行う親機関として全国信用協同組合連合会があり、また、中央における利益代表機関の役割を果たし指導、助言、教育などを提供する全国信用組合中央協会が中央機関として設立されている。

[森 静朗]

『井上肇・高木安典編『新信用組合読本』(1978・金融財政事情研究会)』『信用組合小史編纂委員会編『信用組合小史』(1978・日本経済評論社)』『安田原三著『信用組合の研究』(1978・日本経済評論社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「信用組合」の意味・わかりやすい解説

信用組合 (しんようくみあい)

1949年制定の中小企業等協同組合法に基づく非営利法人の中小企業金融機関。正式には信用協同組合といい,信組と略す。信用組合はドイツに始まるもので,1850年代にシュルツェ・デーリッチュによって都市信用組合が,またライフアイゼンによって農村信用組合が創始された。日本には明治20年代に品川弥二郎平田東助によって導入され,各地で設立されたが,その発展過程において二つのタイプに分かれた。一つは市街地信用組合に多くみられる地域を基盤とする一般金融機関的な性質の強い組合で,預金総額に占める組合員以外の預金の割合が半ばに達していた。他は特定の事業者または勤労者を基盤とする組合主義に徹した組合で,原則として組合員のみの預金を取り扱っていた。これらの質的に異なる信組を中小企業等協同組合法で一律に取り扱うことは無理が多かったので,1951年の中小企業金融制度の改正によって,市街地信用組合を主とする組合は,株式会社と協同組合との中間的な形態である信用金庫に転換した。信用組合と信用金庫は基本的には協同組織の理念に基づくものであるが,信組は信金よりも協同組合的な色彩が濃い。このため信組はその自律性を尊重され監督面でも簡素化される一方,業務は原則として組合員に限定され,組合金融の理念が貫徹されている。なお信用金庫法制定時(1951年6月)に653あった信用協同組合は,改組期間が終了した53年6月までに567のものが信金に転換したので,現在の信用組合の大部分はその後に新設されたものである。

 信用組合はその構成員である組合員の種類によって地域組合,職域組合および業域組合の三つに分けられるが,その大部分は地域組合である。信用組合は発足以来おおむね順調に発展してきたが,金融機関として健全経営,預金者保護に配慮する必要が増大し,また制度上の建前と実態の間のギャップが拡大したこともあって,それを是正するために1968年,73年,81年に制度改正が行われた。なお信用組合の上部機関として1954年に全国信用協同組合連合会が設立され,会員信組のための資金需給の調節機能を営んでいる。さらに73年秋の石油危機以降,低成長に移行し,また金融の自由化,国際化が進行するにつれて,規模の小さな信組をめぐる経営環境は厳しさを増し,〈金融機関の合併及び転換に関する法律〉(1968年6月制定)の施行によって,同種,異種の金融機関の合併が促進されたため,組合数は1969年3月末の543をピークに減少傾向をたどった。現在の組合数368(1996年3月末)。
中小企業金融
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百科事典マイペディア 「信用組合」の意味・わかりやすい解説

信用組合【しんようくみあい】

正称は信用協同組合,信組と略称する。中小企業等共同組合の一つで,中小企業を対象とする金融機関。明治時代から,地域を基盤とした市街地信用組合と特定の事業者・勤労者を基盤としたものがあったが,1951年に前者は信用金庫に転換した。信用組合は信用金庫よりも協同組合の色彩が強く,原則として業務は組合員に限定される。農業協同組合,漁業協同組合などのうち信用業務を営むものも実質的に信用組合である。→組合系統金融
→関連項目岡田良一郎中小企業等協同組合

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信用組合」の意味・わかりやすい解説

信用組合
しんようくみあい
credit cooperative

中小企業者,農民など資力の弱い者が組合員となり,相互に資金の融通をはかる相互扶助的な組合金融機関。信用 (協同) 組合は中小企業等協同組合法 (昭和 24年法律 181号) 3条2号に基づいて設立されるものであるが,その淵源は産業組合法 (明治 33年法律 34号) による信用組合にまでさかのぼる。同様な組織に信用金庫があるが,これは上記の信用組合のうち比較的一般金融機関の色彩の強いものが 1951年の信用金庫法の施行によって改組独立したもので,現在の信用組合は信用金庫よりも協同組合的色彩がはるかに濃い本来の組合金融機関となっている。信用組合には地域組合,業域組合,職域組合の3種があり,組合員に対する資金の貸付,手形の割引,預金・定期積金の受入れ,これら付帯事業を主たる業務とする (中小企業等協同組合法9条の8) 。なお組合員以外の預金・定期積金の受入れには制限がある (9条の8の3項) 。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「信用組合」の解説

信用組合
しんようくみあい

非営利の下級金融機関。明治20年代に内務省の品川弥二郎・平田東助がドイツから導入を試み,1900年(明治33)9月の産業組合法施行により,全国に広がる。17年(大正6)11月の同法一部改正で,農村産業組合とは別に市街地信用組合が創設された。43年(昭和18)4月に市街地信用組合法が施行され,中小企業金融機関として旧来の信用組合の範囲をこえた営業が保証された。同法は49年6月の中小企業等協同組合法公布・施行により廃止され,旧来の市街地信用組合は協同組合法による信用組合に改組された。51年6月に信用金庫法が公布・施行されると,大方の信用組合は信用金庫に転換した。現在の信用組合は地域・職域組合とも大部分が51年以後の設立である。

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