日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダルベッコー」の意味・わかりやすい解説
ダルベッコー
だるべっこー
Renato Dulbecco
(1914―2012)
アメリカのウイルス学者。イタリア南部、カタンザーロに生まれる。1936年トリノ大学を卒業、同大学の助手となり、第二次世界大戦末期には反ファシズム運動に参加した。1947年アメリカに渡り、インディアナ州ブルーミントンで研究生活に入り、1949年カリフォルニア工科大学に移った。1952年同大学準教授、1954年教授に昇格、1962年まで務めた。その後1972年までソーク研究所の研究員、同年からロンドンの王立がん研究所の研究員として研究を続け、1977年ソーク研究所の教授となった。
カリフォルニア工科大学時代にウイルスを定量的に検定する方法を開発し、その改良を重ねた。この方法によって腫瘍(しゅよう)ウイルスの増殖の過程を詳しく研究し、がんのメカニズムを実験的に解析することに成功した。その後、ヒトのがん細胞の研究を進め、ウイルスと遺伝子との相互作用を明らかにした。1975年「腫瘍ウイルスと細胞の遺伝物質の相互作用に関する発見」により、門下生のテミン、ボルティモアとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。
[編集部 2018年9月19日]