日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダンマパーラ」の意味・わかりやすい解説
ダンマパーラ
だんまぱーら
Dhammapāla
古代インドの僧で、仏音(ぶっとん)に次ぐ南方上座部(じょうざぶ)の大注釈家。生没年不詳だが、おそらく5世紀後半ごろの人。南インド、カーンチープラの出身で、上座部大寺派(だいじは)の古い注釈書に基づいて多くのパーリ語の注釈を著した。すなわち、パーリ経蔵中の小部経典中の七経(自説(じせつ)、如是語(にょぜご)、天宮事(てんぐうじ)、餓鬼事(がきじ)、長老偈(ちょうろうげ)、長老尼偈、所行蔵(しょぎょうぞう))の注釈(アッタカター)である『パラマッタディーパニー』、また『導論注(どうろんちゅう)』『清浄道論大注(しょうじょうどうろんだいちゅう)』のほか、長部注・中部注・相応部注それぞれに対する注釈(復注書、ティーカー)などが彼の作とされている。
[森 祖道 2016年12月12日]
『森祖道著『パーリ仏教註釈文献の研究』(1984・山喜房仏書林)』