清浄道論(読み)しょうじょうどうろん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「清浄道論」の意味・わかりやすい解説

清浄道論
しょうじょうどうろん

南アジア諸国に伝わる上座部仏教の最大の綱要書。5世紀の中ごろ、インド出身の学僧ブッダゴーサBuddhaghosa(仏音(ぶっとん))が、スリランカのマハービハーラ(大寺)において、『解脱道論(げだつどうろん)』(2~3世紀ころ、ウパティッサ著)を骨子として、当時伝承されていた仏教の諸典籍を参照しながら著したもの。23品(ぼん)からなり、戒(かい)・定(じょう)・慧(え)の三学を中心に、仏教教理を集大成したもので、戒律についての解釈、実践行としての頭陀支(ずだし)、禅定(ぜんじょう)についての説明、智慧(ちえ)についての解釈などを通じて、清浄への道たる「さとり」に至るべきことを勧める。

[佐藤良純]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清浄道論」の意味・わかりやすい解説

清浄道論
しょうじょうどうろん
Visuddhimagga

インドの学僧ブッダゴーサ Buddhaghosa (5世紀頃) の著作。ブッダゴーサがセイロン (現スリランカ) のマハービハーラ寺所蔵のシンハラ語の仏教文献を広く参照し,『解脱道論』を底本として,上座部仏教の教理を体系的に記した百科全書的文献。現在でも東南アジアで盛んな上座部仏教では,本書はきわめて権威あるものとされている。

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