チャイナ・カード(英語表記)China card

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャイナ・カード」の意味・わかりやすい解説

チャイナ・カード
China card

1970年代から,米ソを中心とする冷戦構造が続いたなかで,アメリカを中心とする西側諸国が中国との関係改善によってソ連を牽制し,力のバランスを西側に有利に運ぼうとした外交戦略。国共内戦におけるアメリカの国民党支持,朝鮮戦争勃発およびアメリカ海軍の台湾海峡出動を背景に,当初中国はソ連をはじめとする社会主義陣営に属してきた。しかし,60年代の中ソ論争 (→中ソ対立 ) を契機に中国とソ連の関係が急激に悪化し,69年武力衝突が起きた。一方アメリカはソ連に対する優位性の確保やベトナムからの撤退をはかろうとした。 70年代から米中接近が急速に展開し,72年2月のニクソン訪中により,断絶状態が続いてきた米中関係が正常化に向かった。チャイナ・カードが使われた具体的な事例としては,79年 12月ソ連のアフガニスタン侵攻時などがあげられる。だが,近年,冷戦終焉およびソ連の崩壊によって,チャイナ・カードは従来の意味を失ったといわれている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android