崩壊（読み）ホウカイ（その他表記）decay

デジタル大辞泉

ほう‐かい〔‐クワイ〕【崩壊／崩潰】

［名］(スル)
１ くずれてしまうこと。こわれてしまうこと。「地震で建物が―する」「家庭の―」
２ 放射性原子核が放射線を出して他の種類の原子に変化する現象。放出される放射線により、αアルファ崩壊・βベータ崩壊・γガンマ崩壊という。壊変。
３ 素粒子が自然に他の素粒子に変化すること。
[補説]書名別項。→崩壊
[類語]瓦解・崩れる・潰ついえる・雪崩なだれる・崩落する・土崩どほう瓦解する・潰れる・破れる

ほうかい【崩壊】［書名］

有馬頼義の小説集。昭和12年（1937）刊。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ほう‐かい‥クヮイ【崩壊・崩潰】

1. 〘 名詞 〙
2. ① くずれこわれること。つぶれること。
   1. [初出の実例]「尊の君无道にして礼楽崩壊ぞ」(出典：足利本論語抄（１６Ｃ）微子第十八)
   2. [その他の文献]〔漢書‐五行志・下之上〕
3. ② ＝かいへん（壊変）
   1. [初出の実例]「吾々は先づ原子の崩壊がどうして見出されたかを究めて見やう」(出典：原子の構造（1924）〈竹内潔〉二)

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

崩壊
ほうかい
decay
disintegration

原子核が安定でない状態にあるとき、α(アルファ)粒子や電子または陽電子などの粒子を放出して他の原子核に変わる、あるいはγ(ガンマ)線を放出して同じ原子核の低いエネルギー状態に遷移する現象。安定でない原子核は、天然放射性元素、たとえばウランやラジウムなどのほかに、種々の粒子を原子核と衝突反応させて人工的に生成することができる。安定でない状態の原子核は、その状態に固有の寿命で他の状態の原子核に変化し、これを一般に原子核の崩壊という。

　おもな崩壊の様式は、自然放射性元素の崩壊で知られるα、β(ベータ)、γ崩壊がある。それらは、ヘリウム原子核であるα線、電子または陽電子であるβ線、また電磁波の極度に波長の短いγ線を放出して崩壊する。これらの変化は、原子の外側にある電子が関与する通常の化学変化と異なり、原子の中心にある原子核そのものの変化であるために崩壊とか原子の壊変とよばれる。ウランやそれより重い元素で生じる自発的な核分裂は、原子核の崩壊の一種である。また核分裂で生成された原子核からの遅延中性子放出も原子核の崩壊であり、原子核どうしの衝突である重イオン反応で生成される原子核の陽子崩壊も同様である。そのほか、β崩壊の一種として内殻電子をとらえる電子捕獲がある。またγ崩壊の変種として、内殻電子をたたき出し原子核の状態が変化する内部変換がある。

［池田清美］

[参照項目] | α崩壊 | γ線 | 基底状態 | 原子核 | 電子 | β崩壊 | 陽電子

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

化学辞典 第2版

崩壊
ホウカイ
decay

放射性核種および不安定な素粒子は，一定の確率でほかの核種および素粒子に変化する．この現象を崩壊という．壊変とよぶこともある．核種が崩壊することを核崩壊，崩壊に伴いα線を放出することをα崩壊，β線を放出することをβ崩壊，γ線のみを伴うものをγ崩壊という．自然界に見られる放射性核種の崩壊系列は，おもにαおよびβ崩壊の組合せでできている．素粒子の崩壊は物質の成り立ちに関するもっとも基本的な現象なので，素粒子物理学の中心課題として深く追求されている．現在，光子，ニュートリノ，電子などは崩壊しないとされているが，陽子は 10³⁰～10³³ y の寿命で崩壊するとの理論があり，実証が試みられている．

出典　森北出版「化学辞典（第2版）」

普及版 字通

【崩壊】ほうかい

崩潰する。

字通「崩」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」