改訂新版 世界大百科事典 「チャーターベース」の意味・わかりやすい解説
チャーター・ベース
charter base
日本独特の船舶運航収支計算および原価計算方式で,C/Bと略される。その計算方式はまず,船舶運航コストを構成する諸費用を,運航形態,航路,積卸港湾,積荷の種類および量のいかんによって変動するものと変動しないものとに二分し,前者に属する費用を運航費,後者に属する費用を船舶経費とする。そして当該運送契約の収益性を測定しやすいように,運賃収入から運航費を差し引いた残りの粗収益を1ヵ月1重量トン当りに換算したものがチャーター・ベースである。式で表すと,
となる。一方,船舶経費は固定費的性格を有しているので,各船のこの費用をあらかじめ1ヵ月1重量トン当りに換算しておくことができる。これがハイヤー・ベースhire base(H/B)である。この計算方式は,
となる。C/BとH/Bを比較してC/Bが大きくなるほど,船会社にとって有利な運送契約ということになる。また,定期用船契約で確保した船舶の運送契約である場合,C/B>用船料となれば運航利益を計上し,他方の用船に出す船主にとっては,用船料>H/Bとなれば同様に利益となる。このようにして日本独特のC/BおよびH/Bは,各船の運航採算と原価計算の見極めを容易にしているユニークな手法となっている。
執筆者:織田 政夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報