日本大百科全書(ニッポニカ) 「チュキタンタ」の意味・わかりやすい解説
チュキタンタ
ちゅきたんた
Chuquitanta
ペルーの首都リマ北方チヨン川流域にある初期農耕期の遺跡。別名エル・パライーソEl Paraíso。古い相は紀元前1900~前1700年ごろのものだが、新しい相は前1500年ごろに至る。面積は約60ヘクタールあり、同じ期の建物のなかではもっとも大きい。建物は、粘土の中に埋め込まれた粗石でつくられ、基壇および壁に囲まれた方形の部屋よりなる。発掘者のフレデリク・アンジェルFrédéric Engelは先土器期末期の神殿と考えたが、公共用目的のためにつくられた世俗の建造物とする見方もある。同時代の同類の建物はすべて海岸近くにあるが、チュキタンタだけは内陸2キロメートルの地点にある点が注目される。
[増田義郎]