チュクベツ（読み）ちゆくべつ

日本歴史地名大系

チュクベツ
ちゆくべつ

• 北海道：上川支庁
• 旭川市
• チュクベツ

漢字表記地名「忠別太」のもとになったアイヌ語に由来する地名。コタン名のほか山名・河川名としてもみえ、「チユツヘツ」（文化年間頃「イシカリ川之図」藻岩北小学校蔵）、「トチユクベツ」「チユクベツ川」（蝦夷全図）、「チユクヘツフ」（玉虫「入北記」）、「チクヘツ」（山川地理取調図）などと記される。蝦夷地絵図（寛政一〇年頃、東京大学史料編纂所蔵）に「チユクベツ川」とみえ、石狩川との合流部東側に「惣蝦夷地擁護」の地として最適と記される。石狩川川筋図（文化四年、近藤重蔵蝦夷地関係史料）に「チユクベツ泊番ヤ　夷家」「番ヤ三ケ所アリ」とある。天保郷帳の西蝦夷地蝦夷人居所之分ではイシカリ持場のうちとしてチユクベツと記す。

チュクベツ
ちゆくべつ

• 北海道：釧路支庁
• 音別町
• チュクベツ

漢字表記地名「直別」のもとになったアイヌ語に由来する地名。本来は河川名だがコタン名としても記録されている。当地一帯は近代に入り東岸は白糠（しらぬか）村、西岸は十勝村に包含されたと思われる。仮名表記は「チユクベツ」（「協和私役」、玉虫「入北記」、「蝦夷日誌」一編、「廻浦日記」「行程記」）のほか、「チクベツ」（東行漫筆）、「チクヘシ」（蝦夷巡覧筆記）、「チヨクベツ」（板本「東蝦夷日誌」）、「チヨクヘツ」「ちよくしへつ」「ちよく別」（「東蝦夷地場所大概書」、玉虫「入北記」）などもある。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」