日本大百科全書(ニッポニカ) 「チュンピン」の意味・わかりやすい解説
チュンピン
ちゅんぴん / 春餅
中国料理の点心の一種で、中国では立春に食べるのでこの名があり、咬春(ヤオチュン)ともいう。料理名からは包餅(パオピン)、焼餅(シャオピン)ともいう。餅(ピン)は小麦粉に卵白、油、温湯を加えて耳たぶくらいの柔らかさにこね合わせ、これを伸ばして片面にごま油を塗って、塗った面を中に二つ折りにして1.5ミリメートルぐらいの厚さに薄く伸ばし、直径10センチメートルぐらいに型を抜く。底の平らな焼鍋(なべ)に薄く油をひいて、弱火で両面を焼くと二枚にはがれる。この餅に、肉類、長ネギ、春ダイコン、そのほかの春野菜と甜醤(ティエンチャン)(甘みそ)を包み、くるくる巻いて下部を折り曲げて手に持って食べ、長い冬からの解放と春を迎える喜びを味わうのである。盂蘭盆(うらぼん)のときは、餅にハスの葉形に筋をつけて焼き、具は精進物にするとよい。これを荷葉餅(ホーイエピン)という。
春巻(はるまき)は、薄い皮に春野菜を巻いて油で揚げ、酢じょうゆ、ラーユーなどで食べる。春巻の皮は、日本では市販されている。
[野村万千代]