日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツッカーカンドル」の意味・わかりやすい解説
ツッカーカンドル
つっかーかんどる
Victor Zuckerkandl
(1896―1965)
ドイツの音楽美学者。ウィーン大学に学ぶ。オペラ指揮者などを務めたのち、1940年渡米し、セント・ジョン・カレッジなどで教えた。美学者としては、音楽の本質を力動経験にみるエネルギー説をとるが、その力動性をゲシュタルト心理学的な考え方によって理論化した。音楽は力動的場における音の運動であり、力動性はこの力動的場のなかに置かれた音のもつ客観的特性であると考える。そして、この音と力動性の関係については象徴概念によって説明した。主著は『音と象徴』Sound and Symbol(1956)であり、ほかに遺作『音楽家としての人間』Man the Musician(1976)がある。
[伊藤るみ子]
『渡辺護著『音楽美の構造』(1969・音楽之友社)』