知恵蔵 「ティクターリク」の解説 ティクターリク 魚類から四肢動物への変化を調べるために、カナダ北部のエルズミア島に分布するデボン紀後期(約3億7500万年前)の地層を調べていた米国の研究チームは、最も初期の四肢動物とそれへの変化を予測させる魚類の中間に相当する魚類化石を発見し、ティクターリク・ロゼアエとして2006年に記載命名した。その四肢は、ひれと肢(あし)の中間の形をしており、指は持たないが、手首と足首の関節を動かすことができて、体を支えて四肢動物の四肢へと進化していったことがうかがえる。なお産出地層は、この時代の河川の堆積物から成っている。またティクターリクは現地の人が、浅い所で見られる大型淡水魚に対して使う名前である。これは今でも水を離れられないオオサンショウウオや、トカゲ、ゾウ、サルなど陸上脊椎(せきつい)動物すべての祖先筋に当たる。 (小畠郁生 国立科学博物館名誉館員 / 2008年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by