共同通信ニュース用語解説 「オオサンショウウオ」の解説
オオサンショウウオ
岐阜以西の本州と四国・九州の一部に生息する世界最大級の両生類。数千万年前から形態が変わらないとされ「生きた化石」と呼ばれる。国の特別天然記念物で、許可のない接触や捕獲が禁じられている。河川工事で生息環境が減少し、中国由来の外来種との交雑問題も顕在化。環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に指定されている。
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岐阜以西の本州と四国・九州の一部に生息する世界最大級の両生類。数千万年前から形態が変わらないとされ「生きた化石」と呼ばれる。国の特別天然記念物で、許可のない接触や捕獲が禁じられている。河川工事で生息環境が減少し、中国由来の外来種との交雑問題も顕在化。環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に指定されている。
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有尾目オオサンショウウオ科の1種で現生の両生類では最大。半分に裂いても再生するという俗説から,ハンザキの別名がある。全長60~100cm,最大は全長135cm,体重19.5kgほどに達する。岐阜県以西の本州・九州北部の山地に分布し,四国および熊本・宮崎両県にも記録がある。成体になっても多分に幼生の形質を残しており,一生を山間の渓流で過ごす。頭部は扁平で大きく,多数のいぼ状突起がある。口は幅広く,成体では眼が退化してきわめて小さくなる。胴は扁平で長く,胴側部には厚い皮膚のひだがあって,皮膚呼吸に役だつ。尾は側扁してひれ状。体は茶褐色に不規則な暗色斑紋があり,飼育下では体色が薄暗くなる。河川の上流域に生息し,用水路や小川にも見られる。性質が荒く貪食(どんしよく)で,魚,サワガニ,カエルなどの小動物をとらえる。昼間は川岸の水中の穴に潜んで頭を上流に向けており,口に触れる生物を捕食する。夜間は流れに出て餌を求める。繁殖期は8月下旬から9月中旬ごろで,集団で上流に移動する。産卵用の巣穴は,奥行1mほどある水中の横穴を利用して拡張するもので,優勢な雄1匹が占有する。やがて熟卵をもつ雌が到着すると,巣穴に受け入れるが,岩陰に隠れていた他の数匹の雄も巣穴に入りこみ,集団で産卵,受精することが観察されている。一つの巣穴では2,3日の間に複数の雌によって数回産卵が行われるが,1回に数珠状に連なった400~500個の卵を産む。1週間ほどで孵化(ふか)した幼生はしばらく巣穴で育ち,やがて流れに出る。3年ほどで全長約20cmに成長し変態する。国の特別天然記念物。
同属の近縁種には,中国南部産タイリクオオサンショウウオA.davidianus(中国名娃娃魚(ワーワーユー),全長1~1.5m)と,北アメリカのアパラチア山脈地方に産するやや小型のアメリカオオサンショウウオCryptobranchus alleganiensis(英名hellbender,全長50~70cm)とがある。
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
両生綱有尾目オオサンショウウオ科のサンショウウオ。体を半分に裂いても生きているという言い伝えから、ハンザキともよばれる。世界最大の両生類として有名で、特別天然記念物に指定されている。
西日本の山地渓流に生息する。主産地は中国山脈の河川上流域で、岡山県の旭川(あさひがわ)や高梁川(たかはしがわ)、広島県の太田川、鳥取県の千代川(せんだいがわ)および日野川、島根県の江の川(ごうのかわ)が著名である。そのほか、岐阜県の長良川(ながらがわ)と飛騨川(ひだがわ)、三重県の名張川(なばりがわ)、兵庫県の豊岡川、山口県の錦川(にしきがわ)なども産地として知られる。九州(駅館川(やっかんがわ)、大分川ほか)、四国(吉野川、肱川(ひじかわ)ほか)での分布は比較的狭く、個体数も少ない。背面は暗褐色で不規則な黒斑(こくはん)があり、腹面はやや淡色で、体側部に沿って大きな皮膚のひだがある。頭部には多数のいぼ状突起があり、目と鼻孔は小さい。全長1.2メートル以上の個体も記録されているが、普通にみかけるのは60センチメートル内外である。寿命は100年以上に及ぶ。水底で生活し、大きな口でサワガニや魚、カエルなどを捕食する。産卵期は8~9月で、川岸や石の下につくられた径50~100センチメートルの巣穴中に数珠(じゅず)状の卵嚢(らんのう)を産む。卵径5ミリメートル、卵数は約500個で、10月ごろに孵化(ふか)し、約3年で変態する。
この科には中国のタイリクオオサンショウウオA. davidianusと、アメリカ合衆国東部のアメリカオオサンショウウオCryptobranchus alleganiensisが含まれる。
[倉本 満]
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