ティジャーニー教団(読み)ティジャーニーきょうだん

改訂新版 世界大百科事典 「ティジャーニー教団」の意味・わかりやすい解説

ティジャーニー教団 (ティジャーニーきょうだん)

ティジャーニーTijānī(1737-1815)を創立者とするイスラム神秘主義教団タリーカ)。ティジャーニーはベルベル人で,当初ハルワティー教団に属していたが,18世紀末に新しくティジャーニー教団を創設し,教団はモロッコ,アルジェリア方面などに広がった。北アフリカにおけるこの教団は,19世紀にフランスの植民地支配のもとでは概して穏健で妥協的態度をとった。しかし,ティジャーニーの弟子でセネガル人であるハジ・ウマルは19世紀中ごろに,この教団をナイジェリア,ギニア,マリコートジボアールなどの西アフリカの各地に広めた。西アフリカにおけるティジャーニー教団は戦闘的性格をもち,フランスの植民地支配に対しても概して反抗的であった。この地域のティジャーニー教団は黒人の間に教勢を拡大し,従来同地域で影響力をもっていた穏健で平和的なカーディリー教団勢力を駆逐していった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のティジャーニー教団の言及

【ハジ・ウマル】より

…西アフリカ,セネガル川上流,フータ・トロ地方に生まれたイスラム改革指導者で,1848年から97年まで続いたトゥクロール帝国の建設者。ティジャーニー教団の厳格なイスラム教義を学び,23歳の時にメッカ巡礼に旅立ち,現ナイジェリア北西部のフラニ王国のムハンマド・ベロ王の娘を嫁にもらった。メッカでは,ティジャーニー教団からブラック・アフリカのカリフとして指名された。…

※「ティジャーニー教団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android