化学辞典 第2版 「テトラクロロ白金酸」の解説
テトラクロロ白金(Ⅱ)酸(塩)
テトラクロロハッキンサンエン
tetrachloroplatinic(Ⅱ) acid(tetrachloroplatinate(Ⅱ))
IUPAC命名法(2005年)による水素方式名称はテトラクロリド白金酸二水素(dihydrogen(tetrachloridoplatinate)),テトラクロリド白金酸(2-)塩(tetrachloridoplatinate(2-)).
酸:H2[PtⅡ Cl4].ヘキサクロロ白金(Ⅳ)酸H2[PtⅣ Cl6]を,塩化ヒドラジニウムで還元すると生じる.これを中和すると,その金属塩も得られる.酸は赤色の水溶液のみが知られており,これを減圧濃縮するとH2[PtCl3(OH)]にかわる.
塩:MⅠ2[PtCl4](MⅠ = Li,Na,K,Rb,Csなど),MⅡ[PtCl4](MⅡ=Mg,Sr,Ba,Zn,Cu,Pbなど)が知られている.各金属のヘキサクロロ白金(Ⅳ)酸塩をSO2などで還元すると得られる.K塩はPtCl2をHClに溶解し,KClを加えてつくる.K2[PtCl4]は赤色の正方晶系結晶.[Pt4Cl4]2- は独立した平面正方形型.Pt-Cl 2.316 Å.密度3.382 g cm-3(25 ℃).空気中で安定.16 ℃ で0.93 g/100 g 水に溶解する.ほかのアルカリ金属塩の水に対する溶解度は,Li塩は易溶,Na塩は可溶.Rb,Cs塩は難溶である.[CAS 10025-99-7:K塩]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報