超アクチノイド人工放射性元素の一つ。原子番号116、元素記号Lv。2000年にロシアのドゥブナ研究所で初めて合成が報告され、その後、同研究所とアメリカのローレンス・リバモア国立研究所との共同研究によって存在が確認された。暫定名称ウンウンヘキシウムununhexium、暫定記号Uuhとされていたこの元素に対して、2012年5月30日、国際純正・応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)は、元素名をlivermoriumとし、元素記号をLvとする正式決定を発表した。同年6月、日本化学会は日本語元素名をリバモリウムとした。
新元素の発見者・初合成者にはその名称を提案する権利はあるが、決定権はIUPACにある。ロシアの研究グループはmoscovium(モスコビウム)を望んだが、IUPACはローレンス・リバモア国立研究所の所在地であるカリフォルニア州リバモア市にちなむ名称を決定した。リバモア市の名称は、牧場主だったロバート・リバモアRobert Livermore(1799―1858)によるとされており、自然科学との関係が深くない人名に由来する元素名になっている。
96番キュリウムと20番カルシウムとの核衝突実験で質量数290から293の同位体が2012年までに数十個合成された。各同位体ともきわめて不安定で、最長半減期はリバモリウム293の61ミリ秒である。α(アルファ)崩壊してフレロビウムになり、さらにα崩壊してコペルニシウムになる。周期表では16族、ポロニウムの下に位置する。
[岩本振武]
Lv.原子番号116の元素.電子配置[Rn]5f146d107s27p4(推定)の16族カルコゲン元素.周期表でポロニウムの下に位置する(エカポロニウム).常温で固体と思われる金属元素.2000年12月にロシアのドゥブナ原子核合同研究所で,アメリカのローレンス・リバモア国立研究所との協力の下に,248Cmを標的として48Caで衝撃して,中性子4個と47 s で114番元素288Fl(フレロビウム)にα崩壊する質量数292の核種1個が得られたと報告されたが,のちに放出中性子数は3で,質量数は293と訂正された.この結果は2005年に確認されている.2006年に同じグループが48 Ca2+をCmより原子番号が二つ大きい249Cfに打ち込み,118番元素3原子の合成を112番元素に至るα崩壊系列で確認したと発表,したがって,中間で116番元素も合成されたことになる.質量数289~293の核種が得られており,293Lvがもっとも安定で,半減期53 ms(α崩壊).ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)は1999年に合成を発表したが,のちにデータねつ造の疑いから取り下げた.2012年5月30日,IUPACは,共同研究を行った原子核合同研究所とアメリカのローレンス・リバモア国立研究所の提案に従って,ローレンス・リバモア国立研究所にちなんで,元素名リバモリウム,元素記号Lvと決定した.[CAS 54100-71-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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