テルゼロール(その他表記)Tell Zeror

改訂新版 世界大百科事典 「テルゼロール」の意味・わかりやすい解説

テル・ゼロール
Tell Zeror

イスラエル,シャロン平野北部にある古代都市遺跡。古代の〈海の道via maris〉と,海岸からサマリアに至る道の交点付近に位置している。テルはひょうたん形を呈し,比高約10m。面積は約4ha。トトメス3世年代記中の一,二の都市に比定する案も出されているが,確定されていない。1964年から66年までの間と,74年に,大畠清らが発掘調査を行い,中期青銅器時代から中世におよぶ22層を識別した。最古の町は規模の点で最も大きく,中期青銅器時代第II期後半に年代づけられ,ヒクソス風の,濠と堡塁を備えた城壁によって固められている。後期青銅器時代層では,青銅器製作の炉址が見いだされ,多くのキプロス製土器を伴うことから,銅の原料キプロス島より得たと想定されている。鉄器時代には小規模な要塞が築かれ,ローマ時代には塔が建てられた。従来シャロン平野北部海岸寄りの遺跡調査例が少なく,テル・ゼロールの調査の結果は重要視される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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