翻訳|tell
人間が長期にわたって居住し,その結果できた建築材料を含む廃棄物によって形成された丘をいう。西アジアを中心に,中央アジア,パキスタン,エジプトの一部,ヨーロッパ南東部に分布する。テルはアラビア語で,イラン,アフガニスタンではテペtepe,アナトリア高原ではヒュユクhüyük,ギリシア北部ではマグーラmaghoula,パキスタンではグンダイghundaiと呼ばれる。なおトルコ東部とイラク北部ではテペも用いられている。家屋の建築に主としてピゼpisé(練土)や日乾煉瓦を使い,水を確保するのに場所の制約がある乾燥地帯において,農耕社会が周辺の耕地の地力を消耗させてしまわないように維持できる技術の段階に達したとき,長期にわたる定住の結果としてテルが形成される。日乾煉瓦などの建物が30~50年経過して古くなるか,地震などで壊れると,崩壊した煉瓦を地ならししただけで上に新しい建物を造るので,時代の経過とともに住居が高くなり,高くなりすぎると近くへ移って,テルないしテル群が形成される。したがってテルを上から建物の層ごとに発掘すると,その丘に累積した歴史を知ることができる。層の番号は上から下へ,すなわち新しい時代から古い時代へ付けられることが多いが,下層から上層へ番号を付けた発掘もあるので,テルごとの層を比較するときには注意を要する。遺跡名としてテルやテペを付けたものとそうでないものとの区別は,まったく便宜的なものである。
執筆者:小野山 節
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アラビア語で「丘」を意味する。イスラエルのテル・アビブTel Avivのテルも同じで、遺跡だけではないが、考古学上では遺跡だけを問題にする。建築のあり方は、その廃墟(はいきょ)の形態を左右する。木造家屋は朽ち果てて、礎石あるいは柱穴を残すだけであるが、日干しれんが建築や石積み建築は、用材がそのまま建築の基礎を覆うように堆積(たいせき)し、同じ地に建築が繰り返されると小高い丘となってゆく。西アジアでは古来そうした建築が営まれ、遺跡として残った。考古学上ではこの丘状の遺跡をテル、テペtepe、タペtapeなどとよぶが、テル・アビブのように現在も人が住む所の地名ともなっている。
[増田精一]
同じ構造の環(炭素環あるいは複素環)が3個互いに単結合で結合した環集合を命名する接頭語.たとえば,図の構造はp-テルフェニル(p-terphenyl)と命名する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…古代メソポタミアでは長い間重要な建築材料として利用され,焼成煉瓦の使用が始まっても,神殿やジッグラトなどの大建造物の本体は日乾煉瓦で構築され,焼成煉瓦は壁面の仕上げなどに用いられるだけであった。西アジアにみられるテルは,日乾煉瓦やピゼ(煉土),石材による建築が倒壊したり廃棄されたのち,さらにその上に築いていった結果,高さ20~30mに達する丘となったものである。現在でもアフリカの北部,西部,西アジアから中国北部にかけて,また中南米で住宅の建築に使用されている。…
※「てる」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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