改訂新版 世界大百科事典 「テルル鉱物」の意味・わかりやすい解説
テルル鉱物 (テルルこうぶつ)
tellurium minerals
テルルを含む鉱物の総称。テルルはまれに元素鉱物の自然テルルとしても産するが,普通は金,銀,銅,鉛,鉄,ビスマスなどのテルル化物として産し,その鉱物の種類は非常に多い。おもなものとして針状テルル鉱sylvanite AuAgTe4,カラベラス鉱calaverite AuTe2,クレンネル鉱krennerite AuTe2,ペッツ鉱petzite(テルル金銀鉱ともいう)AuAg3Te2,ヘッス鉱hessite Ag2Te,硫テルルソウ鉛鉱tetradymite Bi2Te2S,アルタイ鉱altaite(テルル鉛鉱ともいう)PbTe,コロラドアイトcoloradoite HgTe,リッカルド鉱rickardite Cu4Te3,さらには酸化鉱物のテルル石tellurite(酸化テルル鉱ともいう)TeO2などがある。金鉱石として重要ないわゆるテルル金鉱はカラベラス鉱,クレンネル鉱,針状テルル鉱など銀を含む金のテルル化鉱物からなる鉱石で,浅-中熱水性金銀鉱脈に自然金や他の銀鉱物とともに産する。黄白ないし銀白色で,空気中で熱すると青い炎を出して燃え金銀粒を残す。日本では北海道手稲鉱山,宮城県大谷鉱山などがおもな産地。
執筆者:島 敞史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報