日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラベラス鉱」の意味・わかりやすい解説
カラベラス鉱
からべらすこう
calaverite
テルル化金(化学式AuTe2)の鉱物。コストフ鉱kostovite(CuAuTe4)‐シルバニア鉱群鉱物の一員。クレンネル鉱もこれに属し、カラベラス鉱と同質異像関係にあるとする見解もあるが、本鉱は純粋なAuTe2であるのに対し、クレンネル鉱はつねに銀(Ag)を含むので、厳密な意味で同質異像ではない。自形はb軸方向に伸びた単斜柱状。伸びの方向に平行に条線が発達する。低温~高温熱水鉱脈型金・銀鉱床に産し、高品位の金鉱を形成する。日本では北海道伊達(だて)市伊達鉱山(閉山)からほとんど純粋に近いものが報告されており、静岡県下田(しもだ)市須崎(すざき)鉱山(閉山)からも確認されている。
共存鉱物はテルル化物の例をあげれば、テルル鉛鉱、テルル水銀鉱、クレンネル鉱、リカルド鉱rickardite(Cu7Te5)、硫化鉱物としては黄鉄鉱、閃(せん)亜鉛鉱、硫砒(りゅうひ)鉄鉱、輝安鉱など。白昼の散乱光下では表面は真鍮(しんちゅう)色を帯びて見えるが、直射光では銀白色に見える。形態はほとんど見えず、非常にもろい。西オーストラリアには肉眼的に観察可能な標本がある。命名は原産地のあるアメリカ、カリフォルニア州カラベラスCalaveras郡にちなむ。
[加藤 昭 2016年2月17日]