改訂新版 世界大百科事典 「トゥルカナボーイ」の意味・わかりやすい解説
トゥルカナ・ボーイ
Turkana boy
ホモ・エルガスター(ホモ・エレクトスという考えもある)の少年個体骨格化石(KNM-WT 15000)に付けられた愛称。ナリオコトメ・ボーイNariokotome boyとも呼ばれる。1984年ケニアのトゥルカナ湖西岸のナリオコトメで,ウォーカーA.Walkerが率いる調査隊のキメウK.Kimeuが発見した。全身の60%の骨が残っており,エルガスターの成長過程が明らかになった画期的な化石標本である。頭蓋腔容積(脳容積より10%ほど大きい)は890mlと推定されている。年代は約155万年前。第2大臼歯が生えているので,現代人なら12歳にあたるが,当時は成長が早かったので,8~10歳と推定された。身長はすでに160cmあるので,成長すると180cmを超えたらしい。腕や脚が非常に細長く,熱帯での長距離移動に適した体型と考えられる。ただし骨盤は広く,頑丈だったという意見もある。
執筆者:馬場 悠男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報