トゥルギシュ(読み)とぅるぎしゅ(その他表記)Türgish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥルギシュ」の意味・わかりやすい解説

トゥルギシュ
とぅるぎしゅ / 突騎施
Türgish
Türgiš

西突厥(にしとっけつ)十姓を構成したトルコ系の民族集団。7世紀後半は西突厥支配下にあり、烏質勒(うしつろく)のときに砕葉(さいよう)(スイアブ。現キルギス共和国トクマク付近)を陥れ本拠とした(703)が、続く娑葛(さかつ)は、不和となった弟が東突厥に走ったためカプガン・ハガン(黙啜(もくてつ)可汗)の征討を受けた(710ころ)。以後、蘇禄(そろく)の時代に全盛期を迎え、東突厥、唐、吐蕃(とばん)と通婚関係をもって対峙(たいじ)する一方、ソグディアナの諸都市を援助してアラブ勢力と連戦した。彼が殺害(738)されたあと、国内では黄姓・黒姓の分裂抗争が続き、衰退していった。

[片山章雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のトゥルギシュの言及

【突厥】より

…これ以後,突厥,ついで鉄勒諸部は巧みな離間政策に基づく唐の間接(羈縻(きび))支配を受けることになり,唐の勢力は7世紀半ばには中央アジアまで及んだ。この方面では西突厥十部の中から,7世紀末に突騎施(トゥルギシュ)が独立し,8世紀初頭に西突厥は滅び,唐の支配も天山東部まで後退した。 7世紀末,唐支配下の東突厥の間に自立の気運が高まり,682年,阿史那氏の骨咄禄(クトルクQutlugh)が陰山山脈に拠って中国北辺の唐勢力を破り,かつての本拠地ユチュケン山を回復して,北方鉄勒諸部を討って頡跌利施(イルティリシュIltirish)可汗(在位682‐691)を称した。…

※「トゥルギシュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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