日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
トゥーサン・ルーベルチュール
とぅーさんるーべるちゅーる
François Dominique Toussaint L'ouverture
(1743―1803)
ハイチ独立運動の指導者。黒人奴隷の子。1791年の黒人反乱の際に指導者として頭角を現した。94年本国フランスの国民会議が自由黒人にも白人と同等の権利を与える決定を採択したところ、白人プランターがフランスからの分離独立を目ざしてイギリス軍の支援を要請した。これに対しトゥーサンは黒人軍を指揮して撃退した。1801年には自ら総督となり奴隷制廃止を宣言した。このためナポレオンはシャルル・ルクレール将軍の指揮する2万の遠征隊を送った。フランス軍は黄熱病とトゥーサンの巧みな戦術に悩まされて1803年に撤退したが、トゥーサン自身はその直前に奸計(かんけい)により捕らえられフランスに送られて獄死した。
[後藤政子]