知恵蔵 「とと姉ちゃん」の解説
とと姉ちゃん
ドラマは昭和初期の静岡県遠州地方を舞台にスタート。幼い頃の常子と妹の鞠子(まりこ)、美子(よしこ)は、染工会社で働く父、優しい母と仲良く暮らしていたが、1932年(昭和7年)に竹蔵が結核で他界してしまう。常子は父の遺言により、11歳ながら「父(とと)の代わり」となって一家を支えることを決心する。
その後、小橋一家は母方の祖母・滝子(大地真央)を頼って東京・深川に上京するも、第2次世界大戦により、東京は焼け野原となる。常子は女学校を卒業した後、新聞社に入社し、編集作業を学んでいた。戦後の復興を目指す中で常子は「これからの世の中は女の人たちが幸せにならなければいけない」と決心し、女性向けの雑誌の創刊を思い立つ。
常子は新聞社の上司の紹介で、編集者・花山伊佐次(唐沢寿明)と出会い、花山や姉妹と共に小さな出版社を立ち上げて、雑誌「あなたの暮し」を創刊する。「あなたの暮し」は、幼い頃父が教えてくれた「当たり前の暮らしの大切さ」をテーマに、ファッションや料理、健康、商品テストの結果などの情報を伝える内容である。雑誌は女性に向けた生活の指針として認知されていく。
花山のモデルは、「暮しの手帖」の創業者で初代編集長の花森安治。花森は編集者、グラフィックデザイナー、ジャーナリスト、コピーライターなどとして活躍した。大橋の2人の妹・晴子、芳子も「暮しの手帖」の創刊メンバーであり、「とと姉ちゃん」に登場する小橋姉妹のモチーフとなっている。
(若林朋子 ライター/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報