日本大百科全書(ニッポニカ) 「トビヘビ」の意味・わかりやすい解説
トビヘビ
とびへび
flying snake
爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ナミヘビ科トビヘビ属に含まれるヘビの総称。この属Chrysopeleaの仲間は弱い毒をもち、枝から飛び降りることで知られる。インド、スリランカ、インドシナ半島やフィリピンほかの東南アジア、中国南部に4種が分布する。全長1~1.4メートル、頭部は扁平(へんぺい)で細長く、胴も尾も細長い。体鱗には顕著な隆条があり、腹板の両側は角張る。樹上性で行動はきわめて敏捷(びんしょう)であり、枝から飛び降りるときは、肋骨(ろっこつ)を横に張り出し腹板をへこませて、空気の抵抗をつくる。そのため落下速度が鈍り滑空するようにみえるので、トビヘビとよばれる。このうち、ウスミドリトビヘビC. ornataとパラダイストビヘビC. paradisiはもっとも美しいヘビの一つとされる。
[松井孝爾]