日本大百科全書(ニッポニカ) 「トンミサンボータ」の意味・わかりやすい解説
トンミサンボータ
とんみさんぼーた
Thon mi sambhoa
生没年不詳。チベットで活躍した僧。チベットの伝承によれば、ソンツェンガンポ王よりインドに派遣され、その地で文字と文法を学び、帰国後インドの文字に倣ってチベット文字(楷書(かいしょ)体と行書体)を作成し、さらに八部からなる文法書を著作したという。しかし、現今の学者の推定では、彼はソンツェンガンポ王時代の人物ではありえず、チベット文字も彼以前にすでに存在していたとされる。著作も「トンミ文法」で知られる『文法論根本三十頌(じゅ)』と『文法論性入法(せいにゅうほう)』の二部のみと考えられている。
[木村隆徳 2017年4月18日]
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