日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドクガエル」の意味・わかりやすい解説
ドクガエル
どくがえる / 毒蛙
poison-dart frog
両生綱無尾目ドクガエル科に属するカエルの総称。ヤドクガエルともよばれる。ニカラグア以南、南回帰線以北の中央・南アメリカに分布し、3属(ドクガエル属Dendrobates、フィロバテス属Phyllobates、コロステサス属Colostethus)約90種がいる。体長4センチメートル以下で地上性。赤、黒、黄、緑など、原色の美しい斑紋(はんもん)をもつ。皮膚に有毒なアルカロイド(バトラコトキシンbatrachotoxin、プミリオトキシンpumiliotoxinなど)を含むため、他の動物に捕食されることがない。主として昼間に活動するのはこの理由により、鮮やかな色彩は警戒色である。原住民はこの分泌物を鏃(やじり)に塗って狩猟をする。地上に産卵し、親がオタマジャクシを背中にくっつけて水中へ運ぶ。
[倉本 満]