ドップラー航法装置(読み)ドップラーこうほうそうち(その他表記)Doppler navigator

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドップラー航法装置」の意味・わかりやすい解説

ドップラー航法装置
ドップラーこうほうそうち
Doppler navigator

ドップラー効果を利用する航法装置。飛行中の航空機から電波を発信し,対地速度や偏流角を測定地表に対する機体の位置を連続的に知ることができる。航空機から斜め前下方に電波を送り,その反射波を受けると,ドップラー効果により送受信波の周波数の間には,飛行速度の送信方向成分に比例した差が生ずる。この周波数差から機体の対地速度がわかる。また,航空機の上下軸まわりに回転するアンテナから,斜め前方の左右2方向へ電波を送り,ドップラー効果が等しくなるようにアンテナを回転すると,二つの電波ビームの二等分線の方向が,機体の地表に対する進行方向を示す。進行方向が機体の対称面内にない場合は,機体が風に流されているわけで,その間の角が偏流角であり,上記の方法で,これをはかる。以上の装置にコンピュータを組み合わせて,出発点からの機体の航跡,したがって刻々の位置が求められる。ドップラー航法装置は,地上の援助施設に頼ることなく,対地速度や位置を知ることができ,高能力の装置として賞用される。 (→航空航法 )

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