改訂新版 世界大百科事典 の解説
ドーベルマン・ピンシェル[種]
Doberman pinscher
原産地がドイツの警察犬。19世紀末から20世紀初めに育種固定された最も新しい犬種の一つ。名称はこのイヌの作出者カール・ルイス・ドーベルマンに由来し,すでにシェパード,ボクサー,シュナウツァーなどが華々しく発展していた当時,彼は,力強く優美さを兼備したサラブレッドのような作業犬を理想にえがいて育種したと伝えられる。彼は育種記録を秘密にしていたので研究経過は不明であるが,すでに牧畜犬として活躍していたロットワイラーRottweilerが基礎犬であることはまちがいなく,後にマンチェスター・テリア,グレーハウンドの血液も取り入れられた。性格はかみそりのように鋭い怜悧(れいり)さと命令に絶対服従する高い知能をもつ。被毛は短毛で滑らか,毛色は黒・褐色およびチョコレート色・褐色の2種類。体高は約60~65cm,体重は約22~34kgの中型種で,断耳,断尾を行う習慣になっている。
執筆者:一木 彦三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報